【第2部】シロアリはホウ酸を「避けて」通る?効力とルールの怪しい関係
第2部は「効果」の話です。
「ホウ酸は分解されないから半永久的に効く」……これもよく聞きますが、実際のシロアリはそんなに甘くありません。
結論:ホウ酸は「食べないと効かない」し「水に激弱」。
シロアリ対策には大きく分けて「バリア(寄せ付けない)」と「殺虫(触れたら死ぬ)」がありますが、ホウ酸はこのどちらでもない中途半端な性質を持っています。
1. 接触しても死なない?「遅効性」の落とし穴
ホウ酸は、シロアリがそれを「食べる」ことで初めて効果を発揮します(喫食毒)
接触では効きにくい:体に触れただけではなかなか死にません 。
食べなくなる:食べないと死なないのに、ホウ酸を処理するとあまり食べてくれません。
死ぬまで2週間:食べてから死ぬまで時間がかかります 。
つまり、シロアリがホウ酸を処理された木材を「マズいな」と思って避けて、処理されていない別の場所(例えば建具やフローリング)へ移動してしまうリスクがあります 。
これを防ぐには「家中の木材を全部ホウ酸漬け」にする必要がありますが、それには膨大なコストとさらなる「量」が必要になります 。
2. 「限定された環境」でしか認められていない
防腐防蟻剤には認定というものがあります。
これは主に公益社団法人日本しろあり対策協会や公益財団法人日本木材保存協会といった専門機関が、防蟻・防腐剤の有効性(シロアリや腐朽から木材を守る力)と安全性(人体や環境への影響)を審査し、一定の基準を満たした薬剤を認め、登録する制度のことです。
プロでも知らない人が多いのですが、JIS(日本工業規格)ではホウ酸剤のような薬剤は「附属書A」という特別な枠で認定されています 。
通常、有機系防蟻剤は「激しい雨にさらされても成分が流れないか」という厳しい試験(溶脱試験)をクリアしなければなりません 。
しかし、ホウ酸は水に溶けやすいため、この溶脱試験を省略した「雨が当たらない場所限定」のゆるい基準で認定を受けているのです 。
3. 最新の指針では「除外」の動きも
2019年に33年ぶりに大改訂された最新の「木造建築物等防腐・防蟻・防虫処理技術指針・同解説」では、こんな一文が加わりました。
「耐候操作を附属書Aにより行って評価した薬剤は除く」
つまり、雨や結露などの水に弱いことを前提に試験をパスしたホウ酸剤は、「事実上の標準仕様からは外します」という警告です 。長期優良住宅などの公的な仕様はこの技術指針を参考に作成されていますので、今後、長期優良住宅では基準を満たせなくなる可能性が出てくるかもしれませんね 。










